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ビデオでよみがえる映画の話

ビデオで観る名作映画

レンタルショップとシネコンとビデオテープ

趣味としての映画鑑賞が大きく様変わりしたことを実感する出来事がありました。

我が家には今もたくさんのDVDとビデオテープがあるのですが、先日ある映画のDVDをどうやら失くしてしまったことに気づきました。そうなると久しぶりに観たい衝動にかられ、動画配信サービスで探すも取扱いが無く、久しぶりにレンタルショップへ行きました。そこで驚いたのが扱っている海外映画の少なさです。昔に比べてレンタルショップを利用する人が減っていることは想像がつきますが、海外映画のコーナーがそこまで縮小されているとは思いませんでした。

一時期ハリウッド映画の不作が取りざたされていた時期がありましたが、今でもハリウッド映画や他の海外映画は不人気なのでしょうか?日本の映画が面白くなったのは嬉しいことですが、レンタルショップがハリウッド映画とヨーロッパ映画の宝庫だった時代を知っている世代としては、少し寂しい思いがしました。

かく言う私も、レンタルショップを利用する機会はほとんど無くなりました。今映画を観る時は、映画館か動画配信サービスを利用します。夫が50代なので映画館では「夫婦50割引」が使えます。嬉しいサービスです。

たまに気まぐれで、若い頃に観た映画を鑑賞することがあります。当時のビデオテープを出してみると思いがけないところで夫と話が弾みます。その頃のメディアといえばVHSです。買ったものもあればテレビ放送を録画したものもあります。今では考えられませんが、当時はレンタルショップでダビングのサービスも行われていたので、それを利用したコピーもあります。

テレビ放送を録画した『スタンド・バイ・ミー』には、映画雑誌「ロードショー」の付録とテレビ情報誌「ザテレビジョン」の切り抜きが挟んでありました。私が学生の頃、「ロードショー」や「スクリーン」といえば毎号リバー・フェニックスやアリッサ・ミラノがカラーページを飾り、ポスターが付いていました。夫の時代は、テイタム・オニールやジョディ・フォスターが人気だったそうです。

鑑賞前から思い出話に花が咲きます。

名作3作品

  • スタンド・バイ・ミー
  • マイライフ・アズ・ア・ドッグ
  • イル・ポスティーノ

スタンド・バイ・ミー(1986年 アメリカ)

まるでタイプの違う4人の少年。その少年たちが企てた秘密の冒険。口裏を合わせて親に嘘をつき、12歳の夏の特別な2日間が始まります。悪ぶっていてもまだ幼さが残る少年たち。ふざけ合い、喧嘩をし、時には泣き出し・・・そして慰め合いながら歩きます。野宿の夜は語り合い、悩みを打ち明け、将来に思いを馳せ・・・本当は大人にならなければいけないことも分かっています。4人は冒険を通して友情を深め、少しだけ成長するのです。

私が学生の頃、夏になると必ずと言っていいほどどこかのテレビ局がこの映画を放送していたように記憶しています。

子供の頃は夏が近づくと、嬉しくワクワクする気持ちと、何かに駆り立てられるような気持をいつも感じていました。ストーリー序盤から、「軒下に隠した貯金箱」「盗み聞きしたニュース」「合言葉で入る基地」と子供らしい世界が描かれていますが、友達同士の秘密というのもこの上なくドキドキするものでした。中盤では多感な年頃の悩みや友情に共感を覚えます。馬鹿々々しいことを楽しめて大笑いできるのも子供の特権です。

そんな貴重な時間も終わりが近づきます。冒険の終わり。夏の終わり。友達との別れ。それぞれの家に帰っていくシーンは、得も言われぬ寂しさに襲われます。ここでも、またすぐに会える友達との束の間の別れさえ寂しく感じた、そんな子供時代を思い出します。

どこを切り取っても、何回観ても、郷愁を感じる映画です。

マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985年 スウェーデン)

12歳のイングマルは、ある時は兄の悪ふざけをきっかけに、ある時はタイミングの悪さのせいでいつも母親に怒られる破目になります。その母親は病気を患っていて家で療養中の身。父親は仕事で遠地にいるため不在。心身が休まらない母親はイングマルをヒステリックに叱りつけます。それでもイングマルは母親と犬のシッカンが大好きです。しかし母親のためを思った行動も却って問題を引き起こし、夏休みの間兄弟はそれぞれ違う親戚の家へ預けられることに。田舎で待っていた叔父さん夫婦は大らかで優しく、イングマルは母とシッカンのことを思いながらも様々なことを経験していきます。

多くの出会い、友情や恋のようなもの、いくつかの別れ。12歳の少年の悲しさや寂しさ、嬉しさや好奇心がとても自然に表現されていて心を動かされます。

村で出会ったのは、男の子みたいな女の子や、皆と髪の色が違う男の子。個性的な子を見て最初は子供らしい素直な反応を示すイングマルですが、子供たちの間の垣根はすぐに無くなります。大人たちも一癖二癖ある人が多いのですが、憎まれ口をたたきながらもそれぞれが存在を感じ合える距離感で生きています。母国のヒーローの活躍には村の誰もが歓喜し、それはイングマルが力強く生きていくであろうことを予感させるものでもあり、最後は温かい気持ちになります。

イル・ポスティーノ(1994年 イタリア)

イタリアの小さな島に、チリの著名な詩人パブロが亡命してきます。言い訳ばかりで仕事に就かずにいたマリオは、世界中から送られてくる郵便をパブロに届けるための配達人になります。なんとか有名人の気を引きたいマリオと、形式的な挨拶を返すだけのパブロ。しかしパブロが純粋で素直なマリオの感性に触れた時、年齢の差も立場の違いも超えて2人の心は通い始めます。言葉が持つ力を知り、言葉の使い道を得たマリオは積極的に自分の人生を切り開くようになり・・・。パブロへの感謝と友愛を持ち続け、それをパブロの思想を受け継ぐかたちで貫きます。

とにかく美しい作品です。美しい景色、綺麗な音楽、純粋な2つの心。マリオとパブロはまるで子供のように喧嘩をし、子供のように仲直りし、女性へのアプローチも子供のようです。かけがえのない2人の時間は、観終わった後もまるで自分のことのように懐かしく思い出されます。それは、撮影の裏側で実際に築かれていたという友情と悲しいエピソードが、余計に切ない気持ちにさせるためかもしれません。

パブロが祖国を思い出す時。マリオの義母となる人が隠喩を使ってパブロに文句を言うシーン。そしてラスト。パブロ役のフィリップ・ノワレが表情で感情の機微を表現するのは見事で、思わず一緒に表情が緩み、笑い、感涙します。

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