この腕時計が好きな理由

腕時計ハミルトンOdyssee2001

スマホが普及し必需品ではなくなった腕時計ですが、今でも着用している人は多くいます。海外の高級腕時計が変わらず人気だったり、書店には腕時計のMOOK本がたくさん並んでいたりします。

腕時計を買う時、その理由やどれを選ぶかは人それぞれです。時刻の確認だけでいえばやはりスマホより腕時計のほうが便利であるとか、社会的なステイタスやファッション性を考える人もいると思います。私の場合、腕時計との出会いに「ストーリー」のようなものを感じると、それを買わずにはいられなくなります。

SEIKO スピリット

ある時、ヤフオクで素敵な時計に出会います。SEIKOの「スピリット バイ パワーデザイン プロジェクト」です。シンプルだけどボリューム感があり、懐かしいけど現代的。見慣れた感じだけど、よく見るとどの時計にも似ていない。私は一目で好きになりました。

調べてみると私の好きなプロダクトデザイナー、深澤直人さんのデザインだったのです。深澤直人さんのプロダクツは無印良品や±0(プラスマイナスゼロ)といったブランドでも良く知られています。他には、以前紹介したauのINFOBARも人気の高い商品で、私自身それまでの携帯電話にはない楽しげな色や形に惹かれたファンのひとりです。

気に入ったモノが自分の好きなデザイナーの作品だと後から分かる。当然といえば当然のことなのですが、自分の好みを見つける目が確かなことを確認できたような気がして、なんとなく嬉しくなるのです。そんな小さなエピソードによって、ますます思い入れが強くなります。SEIKOスピリットが深澤直人さんのデザインだと分かり、私は同じタイプの色違いを2つとも落札してしまいました。

深澤直人さんは『バウハウスってなあに?』というバウハウス入門絵本を推薦していますが、そのモダンでスタイリッシュなデザインはやはりバウハウスの影響を大きく受けているのだと思います。バウハウスにも興味があり写真集を買って眺めていた私は、そのスピリットがこもった腕時計を手にすることができました。100年前のドイツのデザインが時間も大陸も超えて受け継がれてきたことを考えた時、小さなエピソードが自分の中でひとつの「ストーリー」になりました。

ハミルトン Odyssee 2001

子供の頃に『2001年宇宙の旅』という映画を見て衝撃を受けました。1968年に公開された映画ですが、映し出される宇宙ステーションなどのセットや小道具がとてもリアルでカッコよく、忘れられない映画になりました。この映画の中で宇宙飛行士が付けている腕時計は、アメリカの時計メーカーHamilton(ハミルトン)が製作した小道具ですが、全く同じ形状のものが映画公開から40周年の2008年に発売されました。しかしそれ以前、映画の公開と同時に発売されたモデルがあります。それが「Odyssee 2001」です。

腕時計ハミルトンOdyssee2001

こちらは正式に映画会社からライセンスされたものではないので、発売するための苦心が商品名に見られます。『2001年宇宙の旅』の原題は『2001 a space Odyssey』ですが、商品名は「Odyssee 2001」です。単語の順番を替えているだけでなく、よく見ると「Odyssey」が「Odyssee」になっているのです。

腕時計ハミルトンOdyssee2001

大人になって映画を見直したことをきっかけにこの腕時計のことを知り、探し回ったあげくようやく海外のオークションサイトで購入することができました。デザインは当時のスペースエイジっぽいデザインで、とても良い雰囲気です。子供の頃に夢中になった映画から生まれた腕時計。それを実際に手にすることができただけでも私にとっては立派な「ストーリー」です。

ストーリーを探す

「SEIKO スピリット」と「ハミルトン Odyssee 2001」はどちらも高価なものではありません。もちろん最新の機能が搭載されているわけでもありません。それでも私に深い満足感を与えてくれます。

深澤直人さんがデザインを手掛ける±0の家電や雑貨は、「子供にとっての玩具のように大人が日々の生活の中で楽しめるモノ、ちょっとした幸せを感じられるモノ」がコンセプトだそうです。同じように、それぞれに「ストーリー」のある「SEIKO スピリット」と「ハミルトン Odyssee 2001」は、私にとって「楽しめるモノ、幸せを感じられるモノ」です。

1990年代の終わりにGoogleが登場して、世の中の多くを“検索”で知ったり見つけることができるようになりました。ニュースも生活用品も友達も、検索して探すことに違和感はなくなっています。昭和生まれとしてはそんな状況にしっくりこないことも多々ありますが、「ストーリー」を探すことについて“検索”は有効です。気になったことや昔好きだったものを検索することが出会いに繋がったりします。それが自分だけの「ストーリー」に成長していくかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました