光が美しい、春に観たい映画

空

今年の1月、映画『ラストレター』が公開になり、岩井俊二監督の作品が好きな私たち夫婦は久しぶりに岩井ワールドを堪能しました。

独特の世界観や映像美が「岩井ワールド」「岩井美学」と表される岩井俊二監督の映画。最初に観た『スワロウテイル』は衝撃的でした。

他にも『リリイ・シュシュのすべて』、『リップヴァンウィンクルの花嫁』など好きな作品はたくさんありますが、今気分なのは軽やかなテーマでさわやかな気持ちになれるもの。岩井作品らしい映像美で明るい季節感を感じられる3作品です。

岩井俊二「リリイ・シュシュのすべて」
リリイ・シュシュのすべて

さわやかな気持ちになれる作品

花とアリス(2004年)

先輩に恋心を抱く高校生の花と、花を応援しながらも先輩に惹かれていく親友のアリス。2人の少女の友情と恋愛、夢や家族との葛藤などを描いた作品です。誰もが経験したような日々をこんなふうに美しく見せられると、自分の学生時代さえも輝かしく思い出され、実際平凡な毎日こそ幸せなのだと気づかされます。

花の部屋もアリスの家もそれぞれが抱えていた孤独や抱えている寂しさを表しているようで、岩井作品によく出てくる雑多で味のあるインテリアになっています。

アリスがバレエを踊る名シーンも圧巻ですが、1番印象に残っているのは満開の桜の下を2人が歩いているシーン。私の中では『櫻の園』(1990年 中原俊監督)と並んで桜のイメージを持った映画となっています。

四月物語(1998年)

上京して大学に通い始めた少女のありふれた日常と、ささやかな恋愛エピソード。

岩井作品には光が美しくて印象的なシーンが多くありますが、この作品でもそれが随所にあります。窓から陽が差し込む本屋、『武蔵野』を読む光きらめく草原、陽を反射する高校の廊下など。そしてなんといっても、上京したばかりの少女とカーテンも家具もない部屋が数秒間映し出されるだけのシーン。古くて狭いアパートの1室が、窓からの光によってドラマチックな舞台になっています。

ネモフィラ
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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(1995年)

青春映画の名作『スタンド・バイ・ミー』(1986年 アメリカ)を彷彿とさせる傑作。

小学生の典道と祐介が学校のプールで水泳の勝負をし、その勝敗によって2通りのストーリーが展開されていきます。しかし、この特殊なシナリオは私にとってはあまり重要ではありません。好きなのは“気になる女の子と過ごす時間”とか“男友達との小さな冒険”とか、そんなたわいない出来事の中に表現される少年らしい心情です。夏休みが最高に楽しくて特別だった頃のワクワクやドキドキがよみがえります。

幻想的な夜のプール。クライマックスの花火が打ち上がる瞬間。どちらも光による陰影が印象的で、主題歌と相まって切なくなる大好きなシーンです。

トンボ
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光の表現

ストーリーよりも映像美の感想に振れてしまいましたが、美しい画こそが岩井作品の魅力です。そしてその多くのシーンで光が効果的に取り込まれています。おそらく多くの人が魅了される特徴だと思うのですが、撮影では自然光を撮る工夫をするだけで、人工的な技術などは使わないそうです。極端な言い方ですが、光さえあれば美しい光景は周りにいくらでもあるのかもしれません。家の近所にも、家の中にも・・・。このような着眼点や光の表現方法は、写真を撮る時にできることなら真似してみたいものです。

コスモス
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コスモス
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余談ですが、私はイラストレーターの上杉忠弘の作品が好きです。岩井俊二監督の映画と同様に光の表現がとても綺麗で、そこに感動します。

今年は改めて岩井作品をたくさん観よう。これから写真を撮る時はもっと光を意識してみよう。と、イメージを広げています。

ススキ
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公園
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