忙しい日が続いたら、何もない日は家でゴロゴロしないと体力が回復しない。そんな年齢です。日常の行動範囲は狭くなりましたが、見過ごしてきた光景にふと目が留まり写真を撮ることが増えました。例えば以前のブログ記事に使った写真は、部屋に西日が差して壁に窓と木々の影が映っているところ。白い壁が浮き上がらせた淡い陰影が綺麗で、慌ててスマホで撮影したものです。この美しさに気づけた時、どう言うのか、自分が年齢を重ねたんだと実感しました。
ここ数年はそういった光景をトイカメラで撮影することに凝っています。柔らかなボケ、四隅が暗くなる周辺減光、独特な色調など、性能の良いカメラには出せない味わいはノスタルジックで、その特色は日常風景こそ被写体に適していると思います。遠出する必要もおしゃれなアイテムも必要なく、雑多な住宅街が、平凡な家が、つまり身の回りが撮影スポットになるのです。簡素な作りで安価であるために“玩具”と呼ばれるトイカメラですが、日常を楽しみたい大人世代に嬉しいツールです。
ピンホールカメラ
私がトイカメラを使うようになったのは、『みぶサンゴ』いうカメラがきっかけです。日本カメラ博物館で何気なく手に取り、優しい雰囲気の撮影例に興味を持ちました。
この商品は組み立てキットなので自分で組み立ててカメラを作ります。構造は、レンズが無くピンホールから光を取り込むという原始的なもの。材質は紙。カメラの原理が分かっても、自分で組み立てた紙製の箱で写真が撮れるなんてやっぱり不思議な気がします。もちろんシャッターは手動。ピンホールのカバーを手で開閉するのでブレないように三脚を使うなどカメラの固定が必要ですが、カバーを開けている秒数で光量が調節できます。
撮影時に画角が確認できないので、現像するまでどのように撮れているか想像ができません。そのため見当はずれの写真になることも多いのですが、上手く撮れた時にはとても雰囲気のある写真になります。
二眼レフカメラ
次に買ったのは、『大人の科学マガジン』の付録だった二眼レフカメラ。こちらも組み立てキットです。『大人の科学マガジン』の付録の中でも人気が高かったというだけあって、組み立て方を解説した動画も多く、それを見ながら1時間近くかけて作りました。
『みぶサンゴ』と違いレンズとファインダー、シャッターがあり、材質はプラスチックで、馴染みのある形のカメラです。とは言っても、縦長でレンズが2つ付いた姿はなんともレトロで可愛らしい。ストラップが付けられるようになっているので、オレンジの革紐を付けたら人とはちょっと違う自分だけのカメラになりました。
コンパクトで軽いので、首からかけて散歩するのにちょうどいいカメラです。ただ、ファインダーに映る画は鏡像(左右反転)で、それを上から覗いてアングルを調整することに未だ慣れません。カメラを横にするとさらに混乱してわけがわからなくなるので、横位置の写真を撮ることは諦めました。
ピンホールレンズ
前述の2機の操作に苦戦し、使い慣れているカメラでトイカメラ風の写真が撮れないかと考え、一眼レフに付けられるピンホールレンズも買ってみました。Kenkoの『ピンホールレンズ02』です。
やはり使い慣れているという利点、デジカメの利点は大きいと感じました。三脚が必要なのでカメラ本体と合わせて重量はありますが、操作は手軽です。いくらでも撮り直しができるので満足のいく写真が撮れるだろうと思ったのですが・・・その出来は程よくボケているものの周辺減光がなく、トイカメラらしさが足りません。精度の高さが期待外れの結果になってしまいました。
マニュアルフォーカスでニュアンスを加える
ピンホールレンズではなくいつものレンズで、敢えてピントを甘くして撮影してみました。それだけで写真が柔らかい雰囲気になります。操作が簡単で三脚が要らず、光量不足もカメラの機能で補えるので撮影場所や時間帯を選びません。そのため家事の合間などでも気軽に撮ることができ、まさに日常風景を切り取ることができます。しかし自分でニュアンスを加えるというこの方法は、かなりセンスが必要だと感じました。
ここまで試した結果・・・
ここまで試した結果、トイカメラが生む味わいは高性能カメラには真似できないものだと改めて分かりました。ピンホールカメラはボケ具合も周辺減光も色調もすべて私好みです。ピンホールカメラよりもう少し気軽に使えるのは二眼レフカメラです。首からぶら下げて買い物に行き、スーパーの青果物を撮ってみたりもしました。
ただやはり雰囲気のある写真を撮るのはなかなか難しい。単なる失敗写真と紙一重です。次はトイデジを買って練習しようかと考えていて、まだまだトイカメラで平凡な日常を楽しめそうです。
ちなみに夫が持っているトイカメラについてはこちら▼
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