2018年、KDDIから携帯電話「INFOBAR xv」が発売されました。いわゆる “ガラケー” とか “フィーチャーフォン” と言われるタイプです。人気だったINFOBARシリーズの15周年を記念したものです。
初代のINFOBARが発売されたのは2003年。15年経った今も根強いファンが多くいますが、私もそのデザインに魅せられた1人です。3台のINFOBARを今でも大事に持っています。

INFOBARのデザイン
初めて見たのは赤を基調にした「NISHIKIGOI」だったのですが、これに衝撃を受けました。シンプルな形に斬新な配色でとても個性的です。「ANNIN」は白一色ですがこちらもスタイリッシュです。
それまでに見たことのないこれらの携帯電話は、プロダクトデザイナーの深澤直人さんがデザインしたものでした。
そのヒットを受けて、2007年にはINFOBAR2が発売されます。溶けた飴をイメージしてデザインされたという丸みのあるフォルムは、初代とはまた違った魅力があります。その中の「MIDORI」というカラーはその色合いにも驚きましたが、つや消しのザラッとした質感にもこだわりが感じられました。



機能以外での差別化
携帯電話は通信速度やカメラの画素数、着メロやお財布ケータイなど、機能が重点的に競われてきた印象がありますが、INFOBARが人気となったのは機能が優れているからではありませんでした。初代モデルがニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵され、歴代モデルの多くがグッドデザイン賞に選ばれたことからも分かるように、そのデザイン性に価値を感じられるからです。
日本では「毎日使うものはシンプルで飽きのこないものがいい」と考える向きがあり、当時の携帯電話は黒やシルバーが大半で、形にも大きな違いはありませんでした。INFOBARはなんとなく固まっていた携帯電話のイメージを簡単に覆し、「こういうものでいいんだ!」と妙に納得したのを覚えています。
人気の差は情緒的価値
私はINFOBARに「持っているだけで嬉しい」という気持ちがありました。こういった「持っているとカッコイイ」とか「見た目が美しい」といった購買動機を「情緒的価値」と言うそうです。
時計で言えば時間の正確性、車なら燃費や安全性など、機能面を考えれば最新のものが優れているはずだし、新しいものは市場での競争によって低価格化していきます。それでも価格が下がることのない高級腕時計にこだわったり、昔の名車をわざわざ復元しながら乗り続ける人が多くいます。そういった人たちが感じているものは情緒的価値の他ありません。
時計や車の歴史は長いため機能性に大きな差は生まれなくなっています。そのように成熟した製品は情緒的価値が人気の差となるのかもしれません。

スマホではiPhoneにこの情緒的価値を見出す人は多いと思いますが、INFOBARはその先駆けだったのです。
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